道徳が教科化して、評価をするようになって数年がたちました。私が教員をしていたときは、道徳の評価に大変苦労した覚えがあります。今回は、評価の役に立つ道徳のふりかえりカードを作成しました。下記リンクよりダウンロードしてお使いください。
また、道徳の評価について文部科学省の見解をもとにポイントをまとめましたので、それもよろしければ参考にしてみたください。
道徳ふりかえりカード
道徳科の目標とは
そもそも道徳科の目標は、
道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を(広い視野から)多面的・多角的に考え、自己(人間として) の生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる」
「特別の教科 道徳」の指導方法・評価等について(報告) 平成28年7月22日 道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議
となっています。つまりは、
・価値の理解
・自己を見つめる
・物事を多面的、多角的に考える
・自己の生き方についての考えを深める
のようなことを授業内で見取り、評価していく必要があります。
評価のポイント
学習指導要領や専門家会議の報告によると、道徳の評価においては、
・優れている点や長所、進歩の状況などを取り上げる
・指導の過程や成果を評価
・学習状況や成長の様子を継続的に把握する
・数値などによる評価は行わない
・観点別評価を通じて見取ろうとすることは妥当ではない
・他者との比較をするためのものではない
・いかに成長したかを積極的に受け止めて認め、励ます個人内評価
・個々の内容項目ごとでなく、大くくりなまとまりを踏まえた評価 ←これ難しいですよね・・
とされています。あくまでポジティブな内容を、(できれば成長の様子も見て)、記述で評価することがポイントです。
また、最後の項目に「大くくりなまとまりを踏まえた評価」とあるのですが、私が担任をもっていたときにそれを見取れた子は数人でした。今ではみなさんうまく見とることができているのでしょうか?
毎回かなりの内面分析ができるようなワークシートを使わないと難しいし、ワークシートの用意も分析も時間が足りないですよね・・・。
余談ですが、評価を行う目的には「指導に生かすこと」が含まれているのですが、現状の道徳科の所見を作成する作業は、「指導改善」にはつながらないと思うのです。文部科学省の方にはぜひこの点を再考していただきたい所存です。
評価の見取り方
評価の見取り方については、以下のような例があげられています。
・観察や会話
・作文やノートなどの記述
・質問紙
・記録を計画的にファイルに蓄積
・生徒自身のエピソードを累積したもの
・作文やレポート、スピーチ
フォーマットがあるプリントを毎回使ってファイルなどにためるのもおすすめです。こちらに毎時間使える道徳のプリントもあるので、ぜひご活用ください。高学年であればタブレットの活用もいいですね。
見とるポイントとしては、
・様々な視点から捉え考えようとしていること
・自分と違う意見や立場を理解しようとしていること
・とりうる行動を多面的・多角的に考えようとしている
・価値の理解を自分自身との関わりの中で深めている
(例:登場人物を自分に置き換えて考え、具体的にイメージして理解しようとしている)
・自らの生活や考えを見直している
・価値を実現することの難しさを自分ごととしてとらえ、考えようとしている
となります。
終わりに
こうやって振り返ってみると、かなり高度な評価がもとめられていること、授業の改善が求められていることが分かります。
今までの登場人物の心情読み取り中心の授業では、文部科学省が狙っている部分の成長は見れないと感じました。とは言っても、どういう形式の授業がよいのでしょうか。大切な授業のあり方については実証されていないまま走ってしまっている気がします。もしよい授業実践がありましたら、教えてほしいです。
参考文献
「特別の教科 道徳」の指導方法・評価等について (報告) 平成28年7月22日 道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議
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